2017/3/30

地方公務員法の欠格条項に関する質問主意書及び答弁書

中根やすひろが第193回通常国会に提出した質問本文とその答弁本文になります。

二〇一三年に、成年後見制度における被後見人が選挙で投票できるように公職選挙法が改正された。また、二〇一六年には、成年後見制度利用促進法が成立して、成年後見制度を活用した認知症患者などの権利擁護の推進が期待されるにもかかわらず、地方公務員法第十六条では、自治体が条例を定めない限り、成年後見制度の被後見人と被保佐人は、公務員になれない。あるいは現職公務員が被後見人や被保佐人になった場合には失職するという欠格条項が残っている。他方、兵庫県明石市においては成年後見制度を利用する障がい者にも採用の道を開くため、二〇一六年に「明石市職員の平等な任用機会を確保し障害者の自立と社会参加を促進する条例」を制定し、被後見人や被保佐人であっても明石市の全職種の市職員採用試験の受験を可能とし、現職職員が被後見人になった場合でも失職しないと規定した。
 このような明石市の取り組みは高く評価されるべきと考えることに加えて、障がい者に対する差別の解消や障がい者の雇用促進の観点から明石市の取り組みが全国的に拡大することを期待しつつ、以下質問する。

質問本文:明石市の条例について

平成二十九年二月二十三日提出 質問第九〇号

政府として、明石市の条例をどのように評価するか。政府の見解を示されたい。

答弁本文

平成二十九年三月三日受領 答弁第九〇号

成年被後見人については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七条において、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者とされており、同法第九条の規定により、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、成年被後見人の法律行為は、取り消すことができることとされている。また、被保佐人については、同法第十一条において、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者とされており、同法第十三条第四項の規定により、保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができることとされている。
 他方、地方公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するものであり、一定の状況にある者については、職員たる資格を認めないことが地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営の観点から合理的であると考えられることから、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条の規定により成年被後見人及び被保佐人を含む一定の者について欠格条項が定められ、また、同法第二十八条第四項の規定により職員が欠格条項に該当するに至った場合の失職が定められている。
 各地方公共団体において、同法第十六条又は第二十八条第四項の規定に基づく条例を定めるに当たっては、欠格条項の趣旨等を踏まえて検討すべきものと考えているが、政府として、個々の地方公共団体の条例に対する評価について見解を述べることは差し控えたい。

 

質問本文:「成年被後見人又は被保佐人」の条項を撤廃する地方公務員法の改正について

平成二十九年二月二十三日提出 質問第九〇号

障がい者差別解消、障がい者の雇用促進、本人を支援するための成年後見制度の本来の趣旨などから、地方公務員法第十六条のうち「成年被後見人又は被保佐人」の条項を撤廃する地方公務員法の改正を行うべきではないかと考える。政府の見解を示されたい。

答弁本文

平成二十九年三月三日受領 答弁第九〇号

成年被後見人又は被保佐人に係る地方公務員法第十六条第一号の規定の見直しについては、公務員法制における欠格条項の趣旨、欠格条項の適用を除外する場合を定めることができる旨の規定等を踏まえつつ、慎重に検討すべきものと考えている。

 

※この記事は衆議院ホームページの質問答弁情報から転載しています。
 

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